Sugiyama 人間になろう

2013年3月アーカイブ

新しい「応用栄養学」の教科書が出ます

 

応用栄養学の新しい教科書を編集・執筆しました。

アイ・ケイ・コーポレーション 「応用栄養学」

伏木亨 監修、山崎英恵 編著

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鹿児島純心女子大学の松元圭太郎先生と、石原で運動と栄養に関する部分を執筆させて頂きました。

この教科書は、管理栄養士の国家試験出題範囲を意識して作成していますが、本文以外のPOINTやコラムにも思いが詰まっています。

伏木亨先生の序文と、松元先生のコラムと、石原のコラムを紹介します。

 

「監修にあたって」より

 栄養学は人間のあるべき成長や維持を支援する学問であり、理想的なモデルを示す義務があった。しかし、人間が動物として生きてきた環境は、現代の文明によって根底から覆されようとしている。家電製品の高度化やIT社会においては、人間の身体機能に負担が激減する部分と逆に負担が増す部分も生じる。伝統的な人間の栄養モデルからはギャップがますます大きくなるであろう。その中には、例えば異常とも言える痩身が職業や自己実現の重要な要素である場合や、身を削ってまでトレーニングすることで初めて獲得できる身体機能、授乳や育児に十分な時間を割けない職業環境など、根深いジレンマも存在する。

 本来あるべき身体の成長と自己実現に向けた人間の価値観は、一致するとは限らない。個人の価値観を優先する傾向の強い現代社会においては、応用栄養学が担っている問題はまさに現代社会の縮図であり、この複雑に膨張する社会を生きる現代人をどのように支援するかを学ぶやさしさの栄養学といえる。

(伏木亨)

 

Column スポーツ栄養はスポーツ選手だけのものか
 スポーツ栄養に関する研究をしているということで,スポーツ栄養に興味をもった学生がよく話を聞きにくる。どんなことに興味があるのかと聞くと,ほとんどの学生が一流のスポーツ選手の栄養指導・管理をしたいと答える。残念ながら職業として日本国内でスポーツ選手の栄養指導・管理を行っている人は,ほんの一握りの管理栄養士だけである。
 このことを知るとほとんどの学生ががっかりする。確かに注目を浴びるのはオリンピックなどの国際大会やプロリーグで活躍する一流選手を支えるスポーツ栄養士である。しかし,よく考えてほしい。スポーツ栄養の知識が活かされるのはスポーツ選手だけであろうか?
 ADL・QOL の維持改善のために筋力・筋肉量を増加させようとする高齢者や,肥満やメタボリック症候群の予防・改善のために筋肉を増やして体組成を改善しようとする人々にとっても,運動トレーニングによる筋肉増量をより効果的に誘導する食事・栄養素の摂り方は重要である。このような人々は身近に存在し,スポーツ栄養の恩恵を受けるべき集団である。一流選手の栄養指導・管理を行いたいという高い夢に向かって努力することはもちろん大事である。しかし,スポーツ栄養の知識は,健康づくりのために運動トレーニングを実践しているすべての人々に応用可能であるということは忘れずにいてほしい。
(松元圭太郎)
 
 
 
Column スポーツ栄養と薬物ドーピングの違いとは
 スポーツ選手の栄養管理に携わる者は,選手達が行っている厳しいトレーニングが,健康維持・健全な社会生活にとって時にはマイナスであることを認識する必要がある。
 一定レベルを超える質・量のトレーニングは,身体に大きな負荷をかけるために,免疫能を低下させて,感染症のリスクを高め,女性競技者の場合には貧血のリスクを高める。トレーニングに要する時間を捻出した結果,学業や仕事などにおいて損益を被ることもある。薬物ドーピングは,このようなリスクをおかしてトレーニングを行っている選手の競争に著しい不公平性を生むとともに,選手の体を副作用によって蝕むものである。
 競技志向のトレーニングに関わる管理栄養士は,競技者が目標とする大会において最大のパフォーマンスが発揮できるようにサポートすることと,パフォーマンスの向上のみを目的とする薬物ドーピングとは本質的に異なることを認識する必要がある。第一に,適切な栄養摂取は,選手の体を過酷なトレーニングの悪影響,疲弊から守る力をもつ。さらに長期的には,サポートする選手を怪我や故障,ひいては競技生活の中止から守る力をもつ。すなわち適切な栄養摂取は選手寿命を全うするためのサポートでもある。第二に,適切な栄養管理は,選手自身の意識改革なくしては実現不可能である。多くの選手は,毎回の食事を自分自身で選択しなければならない。管理栄養士は,選手に栄養に関する知識を授け,選手自身で適切な食事を選択できるように育む役割を担っている。すなわち適切な栄養管理は,選手の自己管理能力を高める力を育む。これは,競技生活終了後に,選手がスムーズに第二の人生に入るためのサポートでもある。
 これら2 点がスポーツ栄養と薬物ドーピングの本質的な違いであり,スポーツ栄養こそが,オリンピアの精神「オリンピックの理想は人間を作ること」にのっとった活動である。
(石原健吾)
 
石原

新しい「生化学・基礎栄養学」の教科書が出ます

生化学・基礎栄養学の新しい教科書を編集・執筆しました。

企画から関わって力を入れてきた作品です。

朝倉書店 栄養科学ファウンデーション シリーズ

「生化学・基礎栄養学」

 

本文の表現を国家試験の表現に可能な限り近づけたので、

模試の時など、「あっ! この表現見たことある」ということが増えると思います。

 

管理栄養士国家試験に出題された部分は、赤線を引いて、出題番号を入れてあります。

過去に何回出題されたかも、一目瞭然です(クリックで別ウインドウが開きます)。

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栄養学の歴史も、よく出題される人は、一目瞭然です。(クリックで別ウインドウが開きます)。

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生化学・基礎栄養学が苦手な人は、「カタカナ語がどうも・・・」という人が多いので、

頻出化学用語一覧をつけました。(クリックで別ウインドウが開きます)。

 

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模試を解いて、知らない単語が出ても、あとで調べやすいように、

索引は詳しく作っています。(クリックで別ウインドウが開きます)。

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表紙です。表紙は、シリーズ共通なので、地味です。

見かけたら、手に取ってくださいね。

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石原

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